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活動報告  三重の生きものだより 第16号 2003.1.31発行 より

志摩半島のミサゴ分布調査

志摩半島野生動物研究会


ミサゴ  ミサゴは、日本各地の海岸や河口、湖などに生息するタカ類の一種で、生きた魚だけを専門にねらって食べるという変わった習性をもっています。魚を見つけると、勢いよく上空からダイビングして捕まえるため、その狩りの様子はなかなかの迫力です。しかし最近では、開発や環境汚染などによって減少傾向にあると言われ、環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種として扱われています。樋口(1979)によると、三重県では主に志摩半島以南の熊野灘に生息し非繁殖期には伊勢湾沿岸にも出現するとありますが、渡りや繁殖に関する詳しいことはよく分かっていないようです。志摩半島野生動物研では、これまでにもミサゴの出現した日時や場所を記録してきましたが、一昨年の12月からは、少し踏み込んだ調査を始めています。それは、志摩半島内の河口や漁港などミサゴの出現が多そうな13地点を順番に回り、ミサゴの個体数をカウントするというものです。志摩半島の先端にある阿児町をスタート地点として2人が北と南のコースに別れ、1日がかりで上空や杭にとまっているミサゴの数を数えて行きます。調査を開始して約1年間が経過しましたので、調査結果をグラフにして示してみました(図1)。
 今回の調査の結果、ミサゴは秋から冬にかけて増加し春から夏に減少する傾向を示していました。そして志摩半島全体では、冬のピーク時に約30羽が確認されました。また、新たな発見としては、宮川河口が多くのミサゴの集結場所になっており、夏にも相当数がこの河口だけに残存していることが分かりました。これは本種の保護を考える上でも、貴重な発見ではないかと思われます。志摩半島野生研では、今後も毎月1回の調査を継続し、ミサゴの生態や行動の謎に迫るとともに、彼らの保護についても検討して行きたいと考えています。

図1 志摩半島におけるミサゴの月別個体数変化


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志摩半島野生動物研究会

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