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◆ アカウミガメの産卵 ◆ | |
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@沖合でオスと交尾をしたメスは、日が沈んで辺りが暗くなると、産卵のため砂浜に上陸します。親ガメの甲羅の大きさは70〜90センチ、体重は50〜100キログラムもあります。 |
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A産卵に適した場所を見つけると、メスは後ろ足をスプーンのように使って、穴を掘ります。穴の直径は約25センチ、深さは約50センチです。 |
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B穴が掘り終わると、穴の中に卵を産み落とします。卵は球形で、ちょうどピンポン球くらいの大きさです。 |
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Cメスは120個ほどの卵を産むと、後ろ足でていねいに砂をかけ卵を埋めていきます。そして次に、前足で思いきり砂をかけ、巣穴をカムフラージュします。 |
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Dメスは数時間かけて産卵を終えると、海へと帰って行きます。1頭のメスが、このような産卵を一夏に3〜4 回繰り返し、数百個の卵を砂浜に産んでいきます。 |
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E砂の中の卵は、地熱で温められ、2ヶ月ほどでふ化が始まります。子ガメたちは力を合わせて砂の天井を崩し、地表に脱出します。 |
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F地表に脱出した子ガメは、流木やゴミを乗り越え、いちもくさんに海へと向かいます。 子ガメの大きさは、全長6センチ、体重は20グラムほどしかありません。 |
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G海に出た子ガメが、どこでどのように成長するかはよく分かっていません。太平洋を渡り、メキシコ沖で成長し、再び日本沿岸に戻ってくる説が有力とされています。
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◆ 産卵場の現状と問題点 ◆ | |
砂浜の侵食 最近、各地で砂浜がやせ細る現象が起きています。河川の護岸やダムの建設によって、海に流れ出す土砂の量が減少したためだと言われています。砂浜がなくては、アカウミガメは産卵できません。 |
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護岸工事・人工海浜 人間が砂浜を利用しやすいように、階段状の堤防が造られています。しかし、この階段状の堤防を造るために、砂浜がつぶされています。また、狭くなった砂浜に、質の違う砂が補充され人工海浜が造られていますが、生態系への影響はよく分かっていません。 |
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人工照明 人間が砂浜を利用しやすいように、砂浜の周辺にはたくさんの照明が設置されています。しかし親ガメは産卵場所として暗い砂浜を好みます。また地表に出てきた子ガメが、照明に惑わされ、海に帰れないこともあります。 |
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親ガメの死亡 毎年たくさんの親ガメが、死体となって海岸に漂着します。1998年には、志摩半島の海岸で分かっただけでも20頭の死体が確認されました。漁業による混獲(あやまって綱にかかること)が原因だと考えられています。 |
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以上のほか、海岸で人間が騒ぐことによって親ガメが産卵できなかったり、卵が台風で流されたり動物に食べられたりすることもあります。また、人間が捨てたビニール袋を餌のクラゲと間違って、親ガメが食べていることも問題になっています。
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◆ どうしたらアカウミガメを守れるか ◆
三重県のアカウミガメを守るためにはどうしたらよいのでしょう。私たちは次の3つのことが重要だと考えています。
1.砂浜を守る
2.科学的な調査と保護対策
3.私たちにできることから
アカウミガメの産卵は、私たち人間が赤ちゃんを産む時と同じで、神聖な瞬間と言えるでしょう。写真撮影や興味本意で観察を行うことは、できるだけ避けなければなりません。産卵やふ化を見ることは、人間にとってはもの珍しく、勉強になることかもしれません。しかしアカウミガメにとってはマイナスになることの方が多いことを忘れてはなりません。もしも産卵やふ化に出会った時は、静かにその場を立ち去るのが一番よいでしょう。 |
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